遅ればせながら42tokyoに合格しました。
超久々のブログ更新です。
というかはてなブログをまた書く日が来ることになるとは。
そもそも42tokyoとは
フランス発のエンジニア養成機関です。
教師無し、授業無し、授業料無しという
それ学校なの?みたいな画期的な仕組みで教育を提供する学校です。
42というのは全世界に校舎が存在し、東京では私は一期生です。
上記の42tokyoのページだけではどんな教育を行っているのか、という全体像が
つかめにくいですが、42 Silicon Valley校のページでは卒業生の声や
カリキュラムなど詳しい内容が載っているので、わかりやすいかと思います。
入学試験、その名もpiscine
42の試験を経験した者として、体験談を記しておきたいと思います。
学校自体も特殊ですが、入学試験も特殊です。
piscineというのはフランス語でプールの意味らしく、
42に入学した場合とほぼ同じ環境で実際に学習していきます。
入学試験と言えば一発試験や面接による選抜などが一般的ですが、
piscineでは実際に約一か月間休みもなく登校します。
piscineの洗礼
確か400人ぐらい登録されていたはずですが、最初の1週間で100人ぐらい脱落したようです。
( 42ではスイミングプールにちなんで「溺れる」と表現されます)
実際、私も初日はわからないことだらけで、ガチで辛かった思い出があります笑
無論スタッフさんもいます。しかし、トラブルが起きたり、わからないことで連絡しても
「自分で解決してください。」
の一点張りでした笑。「ああ、これが42なんだ」と初日で早くも悟りました。
正直言って、「手厚いサービス」、「待っていれば先生が教えてくれる」のを期待している人には
絶対に42は向いてません。
教えあいの学校
42のスタッフは優秀な人たちですが、わかっていても生徒に教えることはほぼありません。
これは42の運営のコストを下げるという目的もあるとは思いますが、
私は別の目的があると思います。
42はピアラーニングを謳う学校です。生徒同士が教えあうことで、
コミュニティ全体として知識がレベルアップしていきます。
先生が教える方が効率が良いように思えるかもしれませんが、
先生がいる学校では人に教えるという役割は教師に占有されがちです。
42では授業もありません。与えられるのは課題のみです。
(一応フランス語の外人がしゃべっている講義コンテンツみたいなのはありましたが)
また、未経験者もエンジニア出身の方など、色んなバックグラウンドを持った生徒がいます。
そのため人によって課題の進み具合はバラバラで、'人に教わる機会'も'人に教える機会'も
沢山あり、この積み重ねでみんなの知識がレベルアップできるようになっています。
また、進度がバラバラであることは成長の目標や過程が見えやすいということでもあります。
当然自分より進んでいる人は常にいるし、自分が既にクリアした課題をやっている人もいるからです。
これは従来型の画一進度、画一授業を提供する学校にはない強い特徴だと思います。
先生が教えないというだけで、勝手に自分たちで成長するコミュニティが形成されていました。
ピアレビュー
42の特徴的な学習法の一つにピアレビューという制度があります。
これは課題に対して書いたコードを第三者に見てもらう機会です。
いわゆるコードレビューですね。
これも、普通のプログラミングスクールであれば経験のある先生が担当するのが普通です。
しかし42では初心者が上級者のレビューを担当することもあります。
自分よりレベルの下の人にはよりわかりやすく説明し、レベルが上の人からはより良いコードの書き方や高度な知識を教えてもらうことができ、挑戦的でとても良い仕組みだなあと思いました。
レビューをおろそかにせざるべし
このピアレビューを終了すると機械判定に通され、それもクリアすれば次の課題に進める仕組みですが、
残念ながら課題をクリアすることが自己目的化してしまっている人もいました。
本来であればこのレビューを経て、人にきちんとわかりやすく教えることで自他ともにコードの理解を深めるというのがピアレビュー制度の良いところのはずですが、これを早く適当に終わらせて個人課題をやる時間を多く確保しようとする人がいました。
そのような人が増えると、せっかく教えあいの精神で成長するはずのコミュニティ全体のレベルアップが
停滞してしまいます。
レビューを丁寧に、確固たる目的をもって行うことは42全体のみならず、
自分自身のために絶対に役に立ちます!
近視眼的に見ればパッパと終わらせてしまうのが効率よく見えてしまうかもしれませんが、
もしこれからpiscineを受ける予定の人は絶対にレビューは全力でやりましょう!
コミュニケーションを学ぶ学校
42はプログラミングを学ぶ学校でありますが、同時にエンジニアのコミュニケーションを学ぶ学校でもあると思います。何度も申し上げた通りですが、立ち止まっていても助けてくれる先生はいません。
困っていたら左の机に座っている人、その人もダメなら右の机に座っている人に聞くしかありません。
(ただ、優秀な生徒が主催で初心者講座をしてくれることもあります!コミュニティは盛んです!)
自分のわからないことを明確に伝える力、相手のわからないことを理解する力、自分の分かっていることをわかりやすく相手に伝える力、このような能力は否応なく42では鍛えられることになります。
これらは紛れもなくコミュニケーション能力であり、これほどまでにこの能力を問われる学校を42以外に僕は知りません。
まとめ
初日は辛かったけど、こんなにエキサイティングな教育体験は初めてでした。
学校から与えられる勉強が楽しいということはあまりありませんでしたが、42で缶詰になって勉強したことは本当に楽しかったです。(今まで通学の電車の中では大好きなアニメを見ていましたが、piscine中は意欲が強すぎて代わりにガッツリ勉強してました。それぐらい勉強が楽しかった!)
もちろん42に入ればみんなこんなに楽しめるとは思ってません。元々私がプログラミングやコンピュータに 強い興味を持っていたという原因ももちろんあると思います。実際「piscineつらい。。。」と言っている人も結構見かけました。
プログラミングを長い期間をかけて学びたいという人にはもちろんですが、
従来の講義型の教育に不満を持つ人にとってはおすすめできるとっても面白い学校です。
42ではつらいこともたくさんありましたが、楽しむ気持ちを忘れず全力で取り組めば絶対に価値のある経験ができると確信しています。
最後に、もしこれからpiscineを受けるという人のために僕からひとつアドバイスを残すとしたら
「レビューをおろそかにするな!!」
という言葉を送ってこの記事を締めくくりたいと思います。